採精と受精
前回の続きです。
上の写真は、採卵が終わった状態です。
事前に等張液といって、体液に近い液体を作り、その中に卵を絞った状態です。
何も入っていない器でも卵は体液と一緒に出てくるので、問題ないのですが、
液体に卵を落とす事で、衝撃を和らげて卵を守ってあげます。
慎重に血や壊卵を除いて、等張液を足しながら洗って受精準備完了です。
さぁ!いざ採精。
ここから段取りが悪いと、
卵が劣化していくので、採卵から30分までに受精を目指します。
ここは結構焦ります。
雄は1尾だとリスクが高いので、大体雌10尾分の卵に雄2-3尾くらいを準備。
やはり若い雄の方が精子の質が高いらしいです。(納得)
よくありがちなのが、精子が出ない(すでに出精してしまった)やつが結構いる事。
ですので、候補となる雄はその倍数は用意しないと心配です。
最悪なのは、このタイミングで大きい生簀まで雄を探しにいく事ですから。。
卵以上に繊細なのが精子。
麻酔をかけると精子にダメージがあるので、元気なまま採精するのですが、
これが結構大変。
精子は少量なので、一緒に水滴が落ちてしまうと、
精子が活性化してしまい、そのあと1-2分で死んでしまうケースが有ります。
暴れる身体にタオルをかぶせて水をしっかりと拭いてあげます。
よく拭いたら、尻尾をギュっとつかんで、一気にお腹を絞って採精。
実際の採精作業では、(上の写真にも少し糞が混じってしまっています)、
水分以外にも、尿や糞が混じってしまうと、精子を痛めてしまうので
上手い事、精巣がある腹部を押してあげる必要があります。
これがなかなか難しい・・・。
ここまでくれば、一安心。。
あとは静かに卵の入った器に混ぜてあげるだけ。
ここでまんべんなく、卵に精子を付けてあげますが、
実はこの状態では受精はしていません。
私も、人から聞いて、納得しましたが、
真水に卵が触れた瞬間の浸透圧を利用して精子を吸収するそうです。
今は柔らかい卵が、真水にいれて1-2分もすると、
水分を吸収してパンパンになってしまいます。
スゴイなー。
よくNHKなどでサケの受精シーンを見たことありますが、
まさに、採卵と採精が一瞬に行われるのはそのためらしいです。
孵化盆に取り分けて、これを水に浸せば、受精が始まります。
写真など、撮っている時間はないですね。
この後すぐに孵化漕に浸してあげました。
上手く受精していますように・・・。
(次回は発眼、検卵です)